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カズヤ
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その昔、某銃器専門月刊誌のライターと、某エアガン専門店での開発、販売を兼務。その後、某出版社に誘われ、エアガン関連ムックの編集に携わる。さらに後、某エアガンメーカーに誘われて入社と、80から90年代にかけて、エアガン業界にどっぷりつかった人生を送るが、ある理由により業界から撤退。
そして2012年、再び鉄砲業界に返り咲き、Gunsmith BATONに入社。充実した日々を過ごす中、2014年には人生初の渡米を果たし、憧れのイチローさんの下で、夢だった実弾射撃をついに体験! もはやこの人生に一片の悔いも無い、52歳の初老ガンマニア。

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Posted by ミリタリーブログ at

2013年01月02日

出二夢カズヤの横浜PMC13th参戦記 序の2

昨夜は予告どおりに更新出来ず、大変失礼いたしました。

当記事の執筆に必要な資料を探すのに手間取りまして、
まぁ、夜中にゴソゴソやっていたら女房に怒られただけですが(汗)
今朝から雑誌と書籍の山をひっくり返し掘り返ししてようやく発見。
こうして続きを書き始めたという次第であります。

その資料というのがこちら。



オールドファンの方なら目にしたことがあるでしょう。
1990年に、今は無きトイガンメーカーMGCが
創立30周年記念にと発行したカタログ本で、
スチールチャレンジとビアンキカップに主題を置いた
極めて濃厚なシューティングマッチ特集本なのです。



その素晴らしい内容についてはいずれ項を改めてご紹介するとして、
ビアンキカップ(もちろん本場アメリカの!)の特集記事の中で、
このマッチに挑戦するためだけに渡米し、射撃にすべてを捧げている
日本人シューターたちが紹介されているのですが、
そこに前回最後に書いたメールの送り主であるT2氏の姿があるのですよ。



T2氏は当時、地元の三重から単身上京して働きながら、
ケンや私のレポート作りに協力してくれた仲間でした。
あの因縁のシューティングマッチ「プラチナカップ」も、
彼がいなければ決して成立しなかったでしょう。



そんな彼が、本場のビアンキカップに出場すると決意し、
決して多くない給料を必死で切り詰め、費用を貯めながら、
英語学校にまで通って英会話を学ぶ姿を、
当時の私は冷めた視線で見つめていたところがありました。

「みんなケンに乗せられちゃって、ホントにそれでいいんだろうか?」

T2氏だけでなく、熱に浮かされたように
シューティングへと打ち込む多くの仲間たちにたいし、
私は一歩引いた立場をとり続けていたのです。

と、このあたりの事情は今回の本題から外れるので、
またいずれ詳しく書いてみようと思うのですが、
その、MGCのカタログ本、イチローさんの記事に登場している
T2氏という人物は、この後もビアンキへの挑戦を続け、
日本人シューターとしての最高得点記録を打ち立てるという
偉業を成し遂げてしまった人なのですよ。


 右がT2氏。赤いポロシャツはプラチナカップスタッフの証なのです。

そういえばいつかのSATマガジンでイチローさんが、
T2氏のナイツM4を預かっているというような話しを書かれていましたが、
つまりはそういった大変な人物が、この出戻りへたっぴシューターの私に
大変貴重なアドバイスを授けてくれたという話しなのです。

「よー、カネちゃん明日はいよいよPMCだねェ。」

そういえば前回書き忘れていましたが、
カネちゃんというのは私の本名を略した愛称でして、
この呼び方をしてくれるのは今やT2氏だけになりましたよ(笑)

上記の書き出しから始まるメールの全文を、
今回はご本人の許可をいただいた上でここに掲載いたしますので、
今一歩伸び悩んでいるすべての初心者シューター様は、
是非ともじっくり読んでいただきたいと思いますです。

よー、カネちゃんいよいよ明日はPMCだねぇ。
どうやらプレッシャーに手こずってるようだねぇ。
分かる、わかるぞーその気持ち。
私も散々痛めつけられたからねぇ。
本番では嵐の中の小舟の上で撃たされているような精神状態になるわけで、
自分を何もコントロール出来ないまま、ただプレッシャーの激流に翻弄され、
流され、沈められていくさまを愕然としながら体験する事になりがちだよねぇ。

さて、前に書いたかもしれないけど、射撃中は当たるか当たらないか、
当てられるか当てられないか、といった考えで頭が一杯になってしまうよねぇ。
それは仕方のない事だがそいつは感情を乱し感情の乱れは
プレッシャーを増幅すると同時に集中力を消滅させてしまう。
集中力無しでは正確な動作はできないから、結果外しまくる事になっちゃうよねぇ。
分かっちゃいるけど止められないよねぇ。
で、必要なのは結果の事で頭を一杯にする事ではなく、
その瞬間その瞬間に何をしなければならないかを考え続ける事だと思うんよ。
次はこれ、次はこれと、あたかもプログラムを実行するCPUのようになれれば、
結果について考える余裕がなくなり、感情も動きにくくなる。
でもこれって、最も大変な事なんだよね。
できりゃ苦労しねーよ、ってヤツだ(笑)

で、提案なんだけど射撃中考える事をもっとシンプルにして、
その事だけ意識するってのはどうだろう。具体的には、
「トリガーを引いた瞬間、ダットがどこにあったか毎回全力で把握する。」って事。
繰り返すけど、ぜーんーりょーくーでだよ。
トリガーを引いた瞬間ダットがどこにあったか言えたらたとえ外してもカネちゃんの勝ち。
逆に当てても、ダットの最終位置を把握できなかったらカネちゃんの負けって事だからね。
明日はこの一点のみに意識を置いて撃ってみてくんない?
石井君がカネちゃんの先生をやってくれてるから、
あまり横から口を出すのは良くないかもしれないけど、
カネちゃんに効果があるのか試したい。実験台になってくだされ。
健闘を祈る。

T2


さらに、この後で送られて来たもう1通がこちら。

ちょっと付け足し。

石井君や朋ちゃんに教わっていると思うけど、
試合中は呼吸と眼のコンディションに気を付けよう。
呼吸は腹式呼吸、つまり腹を膨らませて息を吸い、腹をへこませて息を吐くやつね。
静かに深くやる事。順番が来たら特に意識してする事。
試合中は緊張で瞬きの回数が減り肝心な時に視力が低下しがちなので、瞬きも意識してする事。
なんなら生理食塩水の目薬を使ってもいい。

いよいよ射撃直前、ROのスタンバイのコマンドで息を吐き、レディで息をたっぷり吸う。
その間、瞬きを多目にし、目が乾かないようにする事。
後は例のダットの事だけ考えてくれ。
とりあえず今度の試合でやる事はその三つだけ。やるべき事はそれだけだからね。

Good Luck!

T2


実際にシューティングマッチを経験した人間でなければ、
このメールに込められた深い意味はまったく伝わらないだろうと思います。
逆に、一度でもマッチプレッシャーを味わったことがある方ならば、
この文章が素晴らしい道標であることがおわかりになることでしょう。

言うまでも無く、このメールを読んだだけで
劇的にシューティングが上手くなることなどは有り得ません。
しかしPMC13thを明日に控えながら、何をどうやって撃てば良いのか
完全に道を見失っていた私にとっては、
まさに地獄に垂れた蜘蛛の糸に等しい、一筋の光明だったのです。

以下は、このT2氏に対する私の返信メールです。
こちらは何の参考にもなりませんが(汗)
PMC前夜の痛々しい心境と本番に向けた決意が書かれておりますので、
斜め読みで結構ですので、ご一読いただければ幸いです。

うひょー!
このタイミングでアドバイスをくれるなんて、
さすがT2ちゃん、頼りになるぜ‼
店のブログを見てくれたんだね?
昨日の射撃は本当に酷くてさぁ。
先週みたいな手足の震えは無かったんだけど、
絶対当たらないとわかっているのにトリガーを引いちゃって、
外しまくってしまったのよ。
店にプレートが出来てからは結構真面目に撃ち込んで来て、
そこそこ倒せるようにはなって来たんだけどね。
他人が見ている状況になると、とたんに当てられなくなるというか、
自分がコントロール出来なくなるんだな。

落ち着いて時間いっぱい使えばいいのに、
やたら焦って撃っちゃって、ボロボロに外す。
身体が勝手にトリガーを引いちゃってる感じ?

そう言えば昨日のマック堺氏は本当にギリギリいっぱい使って撃ってたなぁ。
6枚目のヒットとブザーがほぼ同時ってくらいゆっくり撃ってた。
あれだけ速く撃てる人なのにね〜。

もうね、明日の本番を前にして何をどうすればいいのかわからず、
ほぼあきらめモードに陥ってたんだけど、T2ちゃんのおかげで闘志が蘇ったよ。

トリガーを引いた瞬間、ダットがどこにあったか毎回全力で把握する。
明日はこれだけを考えて撃ってみるよ。

って思っていても、プレートを前にすると頭ん中真っ白になるから(笑)
T2ちゃんのメールを撃つ直前まで読み返して、全力でそれだけに集中してみます。
心の迷いを吹き飛ばしてくれて、本当にありがとう!
結果がどうあれ、真っ先にT2ちゃんに報告するぜ!

(中略)

よし!
明日の準備をして、今日はさっさと寝ることにするよ。
最高のアドバイスを本当にありがとう!
楽しんで来るぜい‼p(^_^)q

カズヤ


冷静に考えると、個人的なメールのやりとりを
ブログで晒すのってどうなのよ?とも思いますが(汗)
すべてはこの素晴らしい体験を皆様に知っていただくためです。

日本シューティング界の大御所T2氏のアドバイスをもらった
YokohamaPMC12th最下位シューターの私が、
翌日のPMC13thでどのような戦いを繰り広げたのか。

出二夢カズヤの横浜PMC13th参戦記、
いよいよ次回から「その1」が始まります。



明後日が仕事始めなので、明日の更新は難しいかもしれませんが、
出来るだけ早くアップ出来るよう努力いたしますので、
ちょっとだけ楽しみにお待ちくださいね!  

Posted by カズヤ at 21:16Comments(11)シューティングマッチ